Thursday, November 09, 2006

Innovation

せっかくアメリカにいるのだからと翻訳を買わずにBordersThe Ten Faces of Innovationを結構前に購入した。この本は、イノベーティブな会社に必要な人材を10のタイプに分けて紹介しているのだが、 進捗ははかばかしくない。

ちなみに10のタイプの最初に著者が上げているのが、Anthropologists(人類学者)である。これは、著者の別の著書である発想する会社!を読めばわかりますが、人の振る舞いを観察し、そこから洞察することが出来る人が重要であるといいます。

パリに行くとつくづくわかりますが、シャルルドゴール空港からパリの中心へ向かって走る電車やパリ市内のメトロの自動改札は、大きな旅行鞄をもった旅行者には非常に厄介な仕様になっています。
著者は、たとえばこういった自動改札はちゃんと人の振る舞いを見ていけば、こんな風な仕様にはしないで済むよね、といいます。
最近パリを訪れていませんが、以前と変わっていなければ、あそこの自動改札はあってないようなもので、みんな切符を買わずに跨いで越えています。あそこの自動改札を作った人は、そういう振る舞いをなんとかしようと、通りにくい仕様にしたかもしれませんが、確かにアレは使いにくいことは確かです。

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先週の KM World のオープニングキーノートセッションのタイトルは "Innovation and Seeing What’s Next" で、 Stephen Wunker 氏が、市場の構造を変えるようなイノベーションが起きるパターンについて話をしていました。

デジタル音楽市場において、ソニーはレコード会社を持っていたために既存の流通を気にしていて出遅れ、iPodによるマーケットの席捲を許してしまった例、ミニコンとPCの市場サイズの逆転の例、そのたさまざま例を挙げて、そのような現象が起きるパターンと、勝ち残るために必要な視点について述べています。

彼がそこで言っていたことの中で、私が興味深かったのは以下のような趣旨の話でした。

"Marketの求めるものにとらわれすぎても、Userの求めるものにとらわれすぎてもいけない。そうすると背後で進んでいる市場を変える流れを見失ってしまうから。だから、きちんとJOBを見る必要がある。"

ここでの User は「表面的に/見えるものに対してユーザーが言っていること」、Jobは「潜在的に、かつ本当にユーザーが求めていること」と私は解釈しました。

たとえば、利ざやの大きいオフコンの方が、利ざやの小さいPCよりも売れるし、売上もあがる時代には、オフコンで売上を上げている企業はPCへシフトしようという判断は容易ではない。しかし、その背後では Market が変わろうとしている。

"User"は、ポータブルのカセットプレイヤーしかない時代にMP3プレイヤーがほしいとは言わない。あるいはBlogが出てくるまで、ユーザーはBlogが欲しいなどとは言わない。しかし、ユーザーはいまiPodを使い、社内ツールとしてBlogを使っている。

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