Thursday, November 30, 2006

Logos

理由あって三週間ほど日本におりましたが、無事にシリコンバレーに戻ってきました。


日本にいる間にあったイベントとしては、GMAPというテストを受け、その結果を貰ったこと。


GMAPとは、「クリティカル・シンキング(考える力)を『情報理解能力』『論理的な主張の展開能力』『論理的な意思決定/判断能力』の3つに分解し、それぞれの能力を測定するためのアセスメント・テスト」だそうです。


リアルコムはコンサルタントが多いので、結構社内では「クリティカル・シンキング」なんて言葉も頻繁に聞きますし、論理的な思考をする人は多いように感じます。


ちなみに私の成績は、びっくりするほど良くもなければ、悲観するほど悪くもない。自分の結果を見て、なんとも中途半端な感覚でした。

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いま、開発内で合宿を企画しているんですが、合宿で「クリエイティブ思考を鍛えたい」というリクエストがありました。


「クリエイティブ思考」という言葉、なんとなくは理解しつつも、実体がよくわからず、ウェブ上でいろいろを調べてみました。


WikiPedia(英語)には "Criticla Thinking" という見出しはあるが "Creative Thinking" という見出しはないから、きっとそんなに明確な概念があるわけではないんだとおもいますが、その他のサイトも参考にしてみると、「拡散思考」だとか「右脳系の思考」だとかと関連性が高そうだ。


なんか方法論的なものがあるのかなと思って探してみたら、こんなサイトもありました。合宿では、本題に入る前に、この辺のネタから少し頭をやわらかくしてみるのもありかもしれない。

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話を戻して、GMAPとは「論理」の能力を測定するテストだそうだ。


論理の語源はギリシャ語の Logos で、Logos には言葉という意味もある。なので、論理とは言葉である。(なんか朝日新聞のCMみたいだが。)


言葉について、私は大学のころ読んだソシュールの「シニフィアンとシニフィエ」という考えに非常に感動した覚えがある。

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私は文系の学部出身で、大学で一応法律を勉強していたんですが、授業を受けながら、法律は(それが制定された背景はいろいろありつつも結局)単なる言葉でしかできていないものだよなぁ、といつも思ってた。だから、そんなものは最低限必要なもの以外は作ってくれるな面倒だからと思っていた。


なもんで、実態が言葉についていけないからといって、そんな状況に被せるようように新しい法律がつぎつぎ簡単に生まれてくる状況はなんとなく気持ち悪く、「拡大解釈」とかいうやりかたはさらに気持ち悪かったし、今も気持ち悪い。(ちなみに「なし崩し」はもっとも気持ち悪い。)

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私は文系出身で、だからこの前日本の地下鉄に乗りながら「(機械語でなく)高級言語はやっぱり文系人間の発想だよなぁ」ということを考えていたら、ちょうど今日、経済学部出身の仲間から「文系だから、やっとRubyで自分に合う一生ものを見つけた感じ」という旨の言葉をいただいた。その感覚にすごく同感である。

Thursday, November 09, 2006

Innovation

せっかくアメリカにいるのだからと翻訳を買わずにBordersThe Ten Faces of Innovationを結構前に購入した。この本は、イノベーティブな会社に必要な人材を10のタイプに分けて紹介しているのだが、 進捗ははかばかしくない。

ちなみに10のタイプの最初に著者が上げているのが、Anthropologists(人類学者)である。これは、著者の別の著書である発想する会社!を読めばわかりますが、人の振る舞いを観察し、そこから洞察することが出来る人が重要であるといいます。

パリに行くとつくづくわかりますが、シャルルドゴール空港からパリの中心へ向かって走る電車やパリ市内のメトロの自動改札は、大きな旅行鞄をもった旅行者には非常に厄介な仕様になっています。
著者は、たとえばこういった自動改札はちゃんと人の振る舞いを見ていけば、こんな風な仕様にはしないで済むよね、といいます。
最近パリを訪れていませんが、以前と変わっていなければ、あそこの自動改札はあってないようなもので、みんな切符を買わずに跨いで越えています。あそこの自動改札を作った人は、そういう振る舞いをなんとかしようと、通りにくい仕様にしたかもしれませんが、確かにアレは使いにくいことは確かです。

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先週の KM World のオープニングキーノートセッションのタイトルは "Innovation and Seeing What’s Next" で、 Stephen Wunker 氏が、市場の構造を変えるようなイノベーションが起きるパターンについて話をしていました。

デジタル音楽市場において、ソニーはレコード会社を持っていたために既存の流通を気にしていて出遅れ、iPodによるマーケットの席捲を許してしまった例、ミニコンとPCの市場サイズの逆転の例、そのたさまざま例を挙げて、そのような現象が起きるパターンと、勝ち残るために必要な視点について述べています。

彼がそこで言っていたことの中で、私が興味深かったのは以下のような趣旨の話でした。

"Marketの求めるものにとらわれすぎても、Userの求めるものにとらわれすぎてもいけない。そうすると背後で進んでいる市場を変える流れを見失ってしまうから。だから、きちんとJOBを見る必要がある。"

ここでの User は「表面的に/見えるものに対してユーザーが言っていること」、Jobは「潜在的に、かつ本当にユーザーが求めていること」と私は解釈しました。

たとえば、利ざやの大きいオフコンの方が、利ざやの小さいPCよりも売れるし、売上もあがる時代には、オフコンで売上を上げている企業はPCへシフトしようという判断は容易ではない。しかし、その背後では Market が変わろうとしている。

"User"は、ポータブルのカセットプレイヤーしかない時代にMP3プレイヤーがほしいとは言わない。あるいはBlogが出てくるまで、ユーザーはBlogが欲しいなどとは言わない。しかし、ユーザーはいまiPodを使い、社内ツールとしてBlogを使っている。

Saturday, November 04, 2006

Taxonomy Boot Camp

San Jose McEnery Convention CenterでKM Worldと同時に開催されていたTaxonomy Boot Campに参加してきました。

Taxonomyは一言でいうと体系だてて何かを分類すること。Taxonomy Boot Campでは、「社内のTaxonomyは独自に構築すべきか」「社内の情報をいかに分類するか」などのトピックや、社内でのSocial Tagging実践に関する報告など、情報分類のためのさまざまなセッションが催されました。

そんな一連のセッションの中で、「Flickre や del.icio.us などのタギング(フォークソノミー)は、誰でも簡単に分類に参加でき、低コストで分類できる。ただし無秩序に陥りやすい。一方、厳密に階層化したタクソノミーでは、専門で分類する人が必要で結構コストもかかる。だからフォークソノミーとタクソノミーをうまく結び付けてあげることが重要だ」という趣旨の話を聞きながら、以下のようなことを考えていました。

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Taxonomyに関する話をみんなが聞きに来るというのは、膨大なコンテンツのなかから特定のコンテンツへどう人を導いていくかということに多くの人が重きを置いているからなのかな。

以前はコンテンツビジネスが盛んな時期もあったが、コンテンツの価値は下ってきているのかもしれない。あれだけYouTubeにタダで出ているんだから。コンテンツが飽和してきている今、情報をうまく取捨選択できるようにする仕組みが重宝されているんだろう。

Googleは欲しい情報へのアクセスを最適化し、情報へたどり着くための最短距離を導き出す仕組みを提供し、情報を探す人の時間的コストを削減する。あるいは、カカクコムやKayak(httpp://www.kayak.com)はもっとも安くモノを提供しているところを探すことで、商品を買おうとしている人が支払うべき金銭的コストを削減する。こうした価値を提供することで、ユーザーから支持をえて、トラフィックを得て、広告を得やすくしている。

コンテンツだけでなく、人と人との距離を縮めることも当然重要な考えだろう。たとえば、VisiblePathのように人へのアクセスを最適化し、目的の人に会うためにかかるコストを下げることで、ユーザーから支持をえようとしている仕組みもある。

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ということで、ひとまず参加報告まで。